前回に引き続き、
地域福祉講演会の後半のご紹介です。
町永氏に続き、ご登壇頂きましたのは、稲垣康次氏。
富士宮市役所の職員であり、認知症フレンドシップクラブの事務局を勤められています。
以前から既知の間柄であるお二人。
町永氏の鋭い質問に対し、「こんなこと言っていいんですかねぇ(笑)」
といいながら、核心をつくやりとりが続きました。
富士宮市の認知症に対する先進的な取り組みは、
「始めから狙ってやろうとしたのではない」とのこと。
そもそも、現場や地域には様々な要望や人的資源があった。
そんな「声」を、(認知症の当事者である)佐野光孝氏と聞いて回る事によって
拾い、つなぐ事ができたそうです。
当事者がその中心にいることにより、
自然と輪が広がり、そこに医師などの専門家が加わっていったのだと。
時には、医師が認知症当事者役として、劇に出てくださったこともあるそうです。
また、町永氏からは、「たった一人(=佐野氏)のために行政が動くのは不公平だったのでは?」という質問も。
当初はそういった非難の声もあったそうです。
しかし、
取り組んでいるのは答えのない問題。それならば、
目の前で困っている人を救えなければ、
その向こうにいる大勢の人達を救えるはずはないーそう答えたそうです。
講演最後の質疑応答で、一つの事例をお話くださいました。
ヘルパーが家に行くと、冷蔵庫がいつも卵だらけの認知症の方。
その対策に向かうのは、何と地元商店街。
事情を聞いた商店街の方。
あるお店は返品対応しよう、他の店はレジで声かけするようにしよう、など、
各お店の方達が、自分たちで出来る対応策を話合われるそうです。
富士宮では、店長がお弁当を暖めて認知症の方に届ける、そんなコンビニが普通にあるそうです!
認知症の方が、地域で生き甲斐を持って生きるには、
同じ当事者同士のつながりが最も大事だと確信しています、
と語る稲垣氏。
今は観光課に配属されているそうですが、
これからも、NPO活動を通じて地域づくりに帆走されるそうです!